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日本経済新聞 3/10 朝刊 1面 【復興の主役 官から民へ】

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 東日本大震災の発生から11日で8年を迎える。原発事故の影響はなお色濃く残るが、巨額の政府予算の投入で被災地のインフラ整備や住宅再建は一定のメドが付いた。ただ、沿岸部では定住人口の減少が止まらず、「官製復興」には限界がみえる。成長のエンジンを民主導に切り替えるには地域の底力が試される。

 

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岩手県の内陸に位置する北上市で2018年7月に始まった東芝メモリの新工場建設。行き交う大型トラックに地元企業は目を見張る。投資額1兆円は東芝メモリにとって最大規模だ。関連企業が次々と進出し、市内の賃貸物件の賃料は瞬く間に7~10%上昇した。

 

沿岸・内陸に格差

 震災から8年がたち、津波で甚大な被害を受けた沿岸部とそれ以外の内陸部の経済格差が目立ってきた。自動車や半導体の大型投資で勢いを増す岩手、宮城の内陸の一部とは対照的に、沿岸部の再生への足取りは鈍り始めている。

 「補助金を使ったことを後悔している」。冷凍食品製造のヤマトミ(宮城県石巻市)の千葉雅俊社長はこう話す。15年に15億円で新工場と加工ラインを導入。投資額の8分の7を賄ったのが、国の復興関連の補助金だった。だが足元の売上高は震災前から半減。自己負担で借りた2億円の債務返済が重くのしかかる。

 国は被災企業に手厚い金融支援を講じた。債務の減免のほか、投資額の4分の3や8分の7を援助する補助金などだ。公的資金で多くの被災企業が立ち直る一方、身の丈を超えた設備投資を可能にした債務が経営負担となる例もある。

 

【国の復興関連の補助金

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▽…国は東日本大震災からの復興を後押しするため補助金制度を設け、企業の設備復旧や工場立地、新規事業などを支援している。代表的なのが「グループ補助金」だ。通常の自然災害で工場などが被災しても私有財産の復旧に公費は出せない。しかし、震災時は自力再建が困難なうえ、地域経済にも深刻な影響が及ぶことから特別に設けた。

 

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▽…被災した企業が工場や店舗の復旧目的で複数のグループをつくり、計画を各県に提出する。条件を満たせば国と県が費用の4分の3を補助する。震災関連では2018年12月末時点で、1万1595社に対し、総額5163億円が支出された。

▽…水産加工業者の復興を目的にした補助金も設けている。複数の事業者がグループをつくり申請した事業計画を審査し、事業費の8分の7を補助する。グループ補助金が既存施設の復旧が目的なのに対し、水産加工業者向けは新規の設備投資が対象。地元で水揚げした魚を使うことや雇用を増やすことが要件となる。津波原子力災害被災地を対象とする補助金は企業の工場立地費用を補助する。