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診療データ共有 形骸化 日本経済新聞

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f:id:tori3AK:20190315234433j:imageIT(情報技術)を活用した医療の効率化がかけ声倒れになっている。診療データを病院間で共有する全国約210の地域ネットワークの登録患者数は、国内人口のわずか1%であることがわかった。国と自治体は医療費の抑制や患者の利便性向上を狙い、計530億円を超す公費を投じたが、重複医療を解消する効果が出ていない。医療IT政策の仕切り直しが必要だ。


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 患者が病院や診療所を移ると、検査や治療、薬の処方が重複するケースがある。非効率な医療は患者の身体的な負担や医療費増につながる。これを防ぐには病院間のデータ共有が有効とされ、国は地域医療情報連携ネットワーク(総合2面きょうのことば)の整備を促してきた。中核病院や医師会が運営し、電子カルテや検査画像、処方箋を共有する仕組みだ。

 日本経済新聞は「地域医療介護総合確保基金」などの補助金を受けたネットワークを調べた。その数は211。北海道の44が最も多く、大阪の23、東京の17と続く。2009~17年度の補助額は計532億円で、福島が最多の116億円だった。

 登録患者・参加施設数は運営者や自治体に聞き取り、191事業に関する回答を得た。薬局や歯科を含む参加施設は2万9500と、全施設の12%。登録患者は137万2千人にとどまる。福岡県医師会のネットワークは約8千人の登録で、17年の県議会で明かされた「25年度に29万人」の目標にはほど遠い。

 そもそも日本は電子カルテが普及していない。病院と診療所の普及率は3割台。データ共有の環境が未熟で、英国やオランダが9割を超すのと対照的だ。東京都内のある病院職員は「医療ミスや過剰治療の発覚を恐れ、外部に診療内容を見せたくない医師は多い」と医療の閉鎖性を指摘する。

 情報共有に患者の同意が要ることも壁だ。首都圏の医師会によると「医師は患者に説明する手間をかけたがらない」。18年春に稼働予定だったネットワークの参加がいまだゼロの名古屋市の病院は「情報漏洩を恐れる施設が多い」としている。

 総合確保基金は14年の消費増税に伴い創設された。医療分野は病床再編や在宅医療推進など地域医療体制の充実に使う。その一環で国は医療のIT化を促してきたが利用率は期待を裏切る。公費投入のメリハリを欠き、病床再編も遅れている。

 医療先進国といわれるオランダは12年に全国で医療情報を交換するシステムをつくった。患者がいつでも見られるように透明性を高め、国民の8割が参加する。米国では患者データをインターネットで管理・閲覧できる仕組みが普及している。

 厚生労働省は20年度にも全国共通のネットワークを整える方針。地域別のIT政策を事実上転換するが、既存ネットワークの検証には後ろ向きだ。「一元化」ありきで事を進めれば、過去の投資はムダになる。患者の同意や医師の理解を得やすくするソフト面の対策も必要だ。(上林由宇太)

 

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